東京新聞・言いたい放談  企業優先を改めよ(2013・10・9)

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東京新聞 「言いたい放談」
2013年10月9日(水) 朝刊放送芸能面に掲載

安倍政権が消費税率を8%に引き上げる。本来、社会福祉に使う税収だ。しかし今回増えた税収は、法人税の恒久的引き下げのために使われるのは間違いない。それで本当にいいのだろうか。

アメリカでは今年、所得者の上位1%と残る99%の格差が最大になったという。アメリカの富裕層は二〇〇八年の金融危機から立ち直り、所得を戻したが、下位99%はこの五年で所得を0・4%しか伸ばしていない。富裕層が所得を増やしたのは今年一月に資産売却税の税率が引き上げられたため、その前に株式を売却したからではないかとカリフォルニア大学のエマヌエル・サエス教授は分析している。増税は所得再分配に役立たなかった。

アメリカの低所得層にとって所得の再分配や不平等の緩和は期待できそうにない。絶望的な格差が広がっている。持てる者がよりもうかる仕組み。それが米国が主導する市場経済至上主義であり、多国籍企業が世界を席巻する法則である。

戦後一貫して米国追随を貫いてきた日本も、このような所得格差を広げる過程にある。格差拡大の原因は企業優先政策にある。企業のもうけを優先すれば、経営者だけがもうかる。すでに日本の労働市場は雇用が不安定になり、ブラック企業が横行している。企業優先を改めるべきだ。

(映像作家)

 

次回掲載は、10月23日です。

どうぞお楽しみに!