小さき声のカノン―選択する人々

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この映画について


イントロダクション

はじめはみんな、
泣き虫なフツーのお母さんだった。
『六ヶ所村ラプソディー』『ミツバチの羽音と地球の回転』の
鎌仲ひとみ監督最新作!
福島、そしてチェルノブイリ後のベラルーシ。
お母さんたちは、“希望”を選択した。

東京電力福島原発事故から4年。事故による影響は安全である・危険であるといった議論からこぼれ落ちる声が存在している。
それは不安な気持ちを抱えたお母さんたちの声だ。
かつてチェルノブイリ原発事故を経験したベラルーシでは、子どもたちに何が起きたのか。お母さんたちはどうやって子どもを守ろうとしたのか?
福島とチェルノブイリとの時間差は25年、今なおその影響が続いていることは、実は知られていない。日本のお母さんたちと同様、不安を抱いたお母さんたちが大きな声に流されることなく、直感にしたがって子どもたちを守る道を探し続けている。
事故の衝撃に立ちすくみ、ただ困惑している時期は過ぎた。
希望を具体的につくり出す新しいステージに今、私たちは立っている。迷いながらも日本のお母さんたちが自分たちの意志で動き始めた。そんなお母さんたちの小さな声が、国境を越えて響き始める。

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鎌仲ひとみ監督からのメッセージ

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母なるものへの希望

3.11の震災によってひき起こされた原発事故の衝撃は、凄まじいものでした。
そしてその影響は、時と共に薄れていくのではなく、この三年間、私のなかでより深く、大きなものとなっていきました。
映画監督として“核をめぐる三部作”(『ヒバクシャ』『六ヶ所村ラプソディー』『ミツバチの羽音と地球の回転』)を作り続けてきた私の願いは、「子どもたちを被ばくから守りたい」というものでした。東京電力福島第一原発事故以降、この言葉は非常な頻度で使われ、手あかがつき、陳腐化してしまったかもしれません。しかし私の中では、まったく古びることなく、未だに達成できない大きな目標として存在しています。なぜなら、今も事故前よりはるかに多く無用の被ばくを受け続けて、何も対策を施されていないこんなにも多くの子どもたちが、日常を生きることとなってしまったからです。

『ヒバクシャ』で描いた汚染地に暮らす子どもが、今、目の前にいる。
『六ヶ所村ラプソディー』で描いた原子力産業の矛盾が噴出してきた。
『ミツバチの羽音と地球の回転』で描いた原発のその先へ向かうまなざしと方法が、原発再稼働で塞がれようとしている。

そんな今、この三本の先に、今回の『小さき声のカノン』をどうしても作らなくてはならない、と私を突き動かしたもの。それは「子どもたちを被ばくから守ることができる」ことを伝えたい、という抜き差しならない思いです。
混沌と矛盾に満ちた現実に一本の糸を通す、それがドキュメンタリー映画だとしたら、今回の『小さき声のカノン』はまさしくそのような作業をした、という手応えがあります。
被ばくや汚染を認めたくない、差別されたくない人々の心理が利用され、当事者たちが自ら安全を主張する。東電も政府も責任から逃れ続ける。よじれた現実のただ中で子どもたちを心底守ろうとする母なるものの存在に私は未来をかけたい。
原発事故後の世界を生きる母たちのしなやかさ、強さ、その揺らぎや弱さまで含めて、映画から感じていただきたいと願っています。

鎌仲ひとみ

監督プロフィール

映像作家

  • 早稲田大学卒業と同時にドキュメンタリー映画制作の現場へ。
  • 90年最初の作品「スエチャおじさん」を監督、同年文化庁の助成を受けてカナダ国立映画制作所へ。
  • 95年帰国以来、フリーの映像作家としてテレビ、映画の監督をつとめる。主にNHKで「エンデの遺言―根源からお金を問う」など番組を多数監督。
  • 2003年ドキュメンタリー映画「ヒバクシャ ―世界の終わりに」を監督。国内外で受賞、全国400ヶ所で上映。
  • 2006年「六ヶ所村ラプソディー」は国内外800ヶ所で上映。
  • 2010年「ミツバチの羽音と地球の回転」も全国700ヶ所での上映に加え、フランス・ドイツ・オーストラリア・インド・アメリカ・台湾など海外でも上映が進んでいる。
  • 2011年度全国映連賞・監督賞受賞。
  • 2012年DVD「内部被ばくを生き抜く」発売開始。国内外900ヶ所で上映。
  • 2015年3月7日より 新作「小さき声のカノン」が全国劇場公開。現在、各地で自主上映会続映中。
    多摩美術大学非常勤講師。

著作に「原発の、その先へ-ミツバチ革命が始まる」「六ヶ所村ラプソディー ドキュメンタリー現在進行形」共著に「鎌仲監督VS福島大学一年生」「今こそ、エネルギーシフト」「ドキュメンタリーの力」「内部被曝の脅威」など。

公式サイト:http://kamanaka.com/
鎌仲ひとみ過去作品:http://kamanaka.com/works/

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「小さき声のカノン」スタッフ

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監督:鎌仲ひとみ
プロデューサー:小泉修吉
音楽:Shing02
撮影:岩田まきこ
録音:河崎宏一
編集:青木亮
助監督:宮島裕
編集スタジオ:MJ
録音スタジオ:アクエリアム、東京テレビセンター
製作・配給:ぶんぶんフィルムズ
2015/カラー/デジタル/119分

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